竹村泰子の思い
(2001.03.19)

      

参議院予算委員会の私の質問について

 私の予算委員会の質問やこのホームページについて、『なんでも掲示板』への書き込みやメールでたくさんのご意見、ご質問をお寄せ頂きありがとうございました。また、アクセス件数をみますと、声は出さなくてもほんとうにたくさんの人がこの問題に関心を持ち、ここでの議論を見守っていることも強くかんじました。たくさんのご意見、ご質問、そしてアクセスに重ねて感謝申し上げます。ありがとうございます。

 私が予算委員会で「新しい歴史教科書をつくる会」(以後「つくる会」)の歴史教科書問題について質問しましたのは、日本のアジア諸国との外交問題への影響の大きさと、日本としての公式な歴史認識についてです。

 町村文部科学大臣は国定教科書との違いに言及なされましたが、日本の教科書は国定ではなく、文部科学省が責任をもって、その基準にしたがって検定を行って世にでる教科書です。(参考:1996年12月11日、参院予算委員会での小杉隆文相(当時)の自民党板垣正議員の質問への答弁より、「教科書の著作、編集というものは民間に任せております。そして、文部大臣が学識経験者で構成される教科書用図書検定調査審議会の専門的な審議に基づいて検定を行っていると、」)私は文部科学省がこのような形で検定を行っている限り、その検定を通過した教科書について政府が対外的にも責任を問われるのは当然のことだと考えています。

 1982年に作られた教科書検定における「近隣諸国条項」に関しての質問については、次のような問題意識と視点から言及しました。産経新聞が『侵略』から『進出』への書き換え問題についてそのすべてを誤報であるとして訂正し、その後もその責任感か、この問題についてのキャンペーンを続けていること、そして朝日など他の新聞もこの文言の書き換えというか、表現のついての誤解に基づく報道だったとしていることはわかっています。そして、この報道の結果、韓国や中国をはじめとしたアジア近隣諸国から、日本に対する懸念、警戒心、批判が高まりました。それは未来世代への責任をもつ教科書と我が国の政府、政治に対する大きな不信の表明でした。

 周知のように確かにこの問題は大きなキッカケとなりましたが、アジア近隣諸国はその数年まえから日本の歴史認識問題というか、日本における社会科教科書問題における日本国内の議論の推移に強い関心を持っていました。それは現在「つくる会」で活動している人たちを中心に繰り広げられていた、「日本の社会科教科書は著しく偏向しているので作り替えよう」というものに対してでした。

 1981年の予算委員会では参考人招致が教科書問題について行われるといった状況でした。これらの延長線上に1982年の「誤報」問題と産経新聞が提起し続けている問題が起こりました。私はかつてのアジア太平洋戦争時に日本軍の軍靴に踏み荒らされた国々や侵略され、植民地とされた国から、日本のこういった現状、日本政府のもつ歴史認識に問題提起がなされるのは至極当然であると考えています。特にそれらの国々が同じアジアの国々であれば尚更です。その結果「近隣諸国条項」を日本は作ったのでした。

 その意味で今回の「つくる会」の教科書の検定についてアジアの近隣諸国からの懸念や意見表明は理解できます。そしていまの政府のような態度に終始していたら、その影響ははかりしれないと考えただしたのです。私は第2次世界大戦後にユネスコが実践した平和のための国際理解教育運動のように、たとえば、日本と韓国で行われた、「歴史研究有識者会議」に続くものとして、日韓相互のそれぞれの教科書の比較検討作業を提案致します。更なる両国の信頼醸成と相互理解のためにも。

 1995年6月9日、衆議院は「歴史を教訓に平和への決意を新たにする決議」を行いました。そのなかで、我が国の戦争責任について「我が国が過去に行ったこうした行為や他国民とくにアジアの諸国民に与えた苦痛を認識し、深い反省の念を表明する」としており、この文章の前に「世界の近代史上における数々の植民地支配や侵略的行為に思いをいたし」の一節が挿入されています。かなりあいまいさの含まれた決議ですが、我が国が過去に行った『侵略の事実』を踏まえたものであると私は認識しています。村山首相談話やこの国会決議が我が国の歴史認識であり、国際社会における行動の規範であるとすれば、おのずと今回の「つくる会」の教科書問題についての対応のしかたは明確であると考えます。

 私は我が国がアジアの一員として近隣諸国との真の信頼関係を築くことこそ、「国際的に名誉ある地位」を占めることができる第一歩であり、「国益」にかなったことだと考えます。

 長くなりましたが、最後に一言。私は自由な議論の場があるということはとても大切だと思います。これからもこの『掲示板』が自由な議論の場や伝言板として利用されることを歓迎しております。


矢印のアニメですメールは、go@yasuco.comまで。
 
 

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