| 日本社会は戦後一貫して経済成長を追い求め、世界でも稀な高度成長を達成しました。そして、バブル期を迎え、つかの間の幻想を社会に振りまき、バブルは崩壊しました。バブルの残した傷跡は、日本社会のいたるところでいまだに存在しています。この間、日本政府は景気の回復、経済成長率のアップをはかるための政策運営を進めてきました。
そのために自らの経営の失敗ゆえに多量の不良債権を抱え込んでいる金融機関に多額な税金を投入して救済したり、同様に不良債権をかかえる大企業が、リストラ(おもに労働力の合理化)をやりやすくする法律を成立させて、リストラの嵐を日本全国に吹き荒れさせました。合わせて正社員を減らしても企業活動を維持できるよう、派遣労働者をより安価に使い勝手よく使えるように法体系、制度を整備しました。これらと同じ目的で、金利を長期間にわたって極端に低く抑え続けています。
それが世界経済やアジア経済との関係を考慮しての政策運営であるという側面があることは否定はしませんが、やはり、国家あって国民なしの政策運営ではないでしょうか。(これについては、私も含め、国政に参画する政治家に大きな責任があります。)
その結果、日本社会はどうなったのか。みなさん、ご自分および身のまわりを考えてみて下さい。さまざまなものがあふれ、生活も便利になりました。その意味では「豊か」になりました。しかし、一方で、かつては社会と多くの個人が追い求めていた「(物質的、経済的に)豊かになる」ということが、目標たりえなくなったのでした。
このように変化した社会の中で、子どもたちや若い人たち、そして大人たちも、生きる目標や意味を失い、あるいは模索しているように思います。そんな中で、みなさんの周りでも、こんな事例が増えていませんか。自傷、過食、拒食やアルコール、薬物、ストーカー(加害者)、リストカット、ナイフを握りしめる少年、いじめ(加害者)、引きこもり、出社拒否などなど。その原因は様々でしょうが、目標喪失の時代という共通した背景を見い出すことができるのではないでしょうか。
精神的に辛くなってしまった人を癒し、支えていたのは、かつては地域コミュニティだったのだと思います。しかし、その機能が低下した中で、現在、多くのサポート機関、団体がこれらに対応するため活動を展開しています。でも辛くなった人たちや、その友人や家族が、的確にぴったりのところにつながっていくのは容易なことではありません。
今は転換期です。新しい制度、新しい社会の設計は、私も議論に加わりますが、基本的には若い世代中心に作っていってほしいと考えています。でも、今「辛くてしようがない人」「手首にカミソリをあてている人」はどうしてもほっておけない、そう思っています。そこで、『社会の保健室』なのです。
下図がそのイメージです。これら全体を『社会の保健室』と総称し、たとえばNPOに対する税制措置など関連する施策の充実に努め、介護保険のNPOみたいに事業委託を行っていきます。これらそれぞれが連携を強めながら機能するよう関係省庁に働きかけていきます。
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