21世紀の「食・農・環境」のために

 1995年に国際機関としてWTO(世界貿易機関)が発足するまで、第二次世界大戦以降の自由主義陣営の貿易ルールは、ガット(GATT:貿易および関税に関する一般協定・非国際機関)によっていました。これに対して、障害のない自由貿易をさらに拡大することを目的に「国際貿易機関」設立の気運が高まり、1995年1月に発足したのがWTOです。

 WTOの農業交渉の大きなテーマは、食料輸出国の貿易拡大要求と輸入国側の国内農業保護との調整です。いわばWTO農業交渉は、輸出国と輸入国との利害対立であり、当然ですが日本にはコメの市場開放と国内農業政策の見直しが求められました。まず、コメの市場開放では、93年のウルグアイ・ラウンドで合意したミニマム・アクセス(最小限度の輸入受入:コメの場合、年間国内消費量の3%未満)による関税化の6年間の猶予が2年間早まり、95年度からの関税化がすすめられました。

 また、食糧管理法などによる農畜産物価格制度などの農業保護政策は、市場を左右するとして削減で合意されました。このため、これまで、コメ、ムギ、大豆、てんさい、原料乳などの主要農産物に適用されてきた価格支持制度は廃止の方向で見直されます。

 このようなコメの市場開放や農畜産物への価格支持制度の廃止が、国内農業を持つ生産力や農家の生活に大きな影響を与えていることは当然です。そして国内農業を困難に陥れている最大の原因は、WTO農業交渉妥結後の政府の農業政策にあります。すでにふれたように、WTO農業交渉では国際市場価格に影響を及ぼすと見られる各国の農産物価格支持政策は、その廃止が取り決められました。一方で、市場への中立性を保ちながら農家の所得を補償することができる「直接所得補償政策:デカップリン(decoupring farm programs)」は、これを「緑の政策(Green Box)」として削減すべき農業保護政策から除外しています。

 問題は、政府がWTO協定で除外された「緑の政策」をどこまで採用して国内農業を保護するのかにかかっているのです。現在おこなわれているWTO農業交渉は、関税水準の一層の引き下げ、ミニマム・アクセスの拡大、セーフガード(緊急輸入制限措置)の見直しなどを各国に求めることをテーマに交渉が継続されていますが、今日のWTO体制下の農業政策について私は、つぎのようなことを政府に求めています。そしてこの政策の実現については北海道の生産農家の組織である北海道農民連盟のみなさんとの政策協定を結んでいます。その考えの基本は、21世紀を「食・農・環境の共生社会(安全な食物による心身の健康とそれを生産する農家、そしてそれを可能にする森林・緑地・海などの環境の共生)」にしたいと思いからです。 具体的には、
 1、WTO農業交渉を市場主義に陥らせることなく、農業の特性(自然の恵みによっていることや環境特性を持つこと)への配慮、食料の安全保証や安全性に配慮した国際ルールに改めること。
 2、食料自給目標(カロリーベース)を50%に引き上げる具体的政策の確立。
 3、「緑の政策」の積極的導入で、農家への直接所得補償政策の実現、農山漁村がもつ環境保全や災害防止などの多面的・公益的機能への直接支払い制度の拡充を図ること。
 4、輸入食料や遺伝子組換え作物などへの安全強化と地場農産品の消費拡充。
 5、担い手の育成や農家の生活安定のために、他産業に働く人たち並みの年金制度の保障や介護制度の充実。
 6、農山村での女性の地位向上と社会参加の拡大。
などを約束しています。

 そして私は、このような「食・農・環境の共生」の21世紀に向けて、生産者や地域の人たちと消費者とを結ぶ「政治の架け橋」の役割を担いたいと考えています。


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